転職事情 2017.10.13

いま現場で求められている他業種連携できる薬剤師とは？

近年、薬剤師を取り巻く環境の変化は目覚ましく、近い将来には、現在と同じような労働条件で働くことは難しくなってくると言われています。多様化する患者のニーズ、加速する業界再編、経営環境の悪化など、その要因はいくつかありますが、その中でもいま注目されているのが、今回取り上げる「異業種企業の参入」です。
調剤ビジネスに参入する異業種企業は増え続けており、それによって業界全体に影響を及ぼしていますが、当然薬剤師にも大きな影響を与えています
こうした流れの中で、薬剤師も働き方について見直す時期に来ていると言えます。給与面や労働時間などの目先の事だけにしか目を向けていないようでは、時代の流れの中で薬剤師として淘汰されてしまうでしょう。
では、異業種企業の参入が相次ぐ中で、これから薬剤師に求められる役割と働き方とはどのようなものなのでしょうか？

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増加する一方の異業種企業の参入

２００９年に施行された薬事法改正により、医薬品の販売事業に参入する異業種企業は一気に増加しました。特に注目されたのが、既存の業種である調剤薬局やドラッグストアと流通小売企業との業務提携です。
ローソンとツルハHD、セブンイレブンとアインファーマシーズ、ファミリーマートとメディカルシステムネットワークなど、大手コンビニエンスストアと大手ドラッグストアや調剤薬局との業務提携は大きな注目を集めました。
これらはほんの一部で、他にいくつも事例はありますが、業務提携を進めていくというのは、企業同士の厳しい競争の中で生き抜いていくために積極的に用いられている一つの手段であると言えます。
法改正、規制緩和、高齢化社会の進行、消費者の多様化するニーズなどにより、どの業界も既存のビジネスモデルでは大きな成長が見込めないため、調剤ビジネスや大衆薬の販売を、少しでも多くの人を店舗に集めるための集客手段の一つとして手がけるようになっているのです。

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業界全体に与える影響

異業種企業の参入によって、病院、調剤薬局、ドラッグストアなどの既存の業界に与える影響には様々なものがあります。
新たな付加価値を持った異業種企業とのコラボ店舗が増えることによって、これまでのような「調剤した薬を渡すだけ」という店舗の魅力は半減し、患者は最も自分のニーズに応えてくれる店舗を利用するようになっていくことが考えられます。
このように、患者の獲得競争が激化してくると、各々の企業や店舗があらゆる手段を講じるようになり、どれだけ緻密できめ細かな経営戦略やマーケティング戦略が立てられるか、それを実行できるだけの資金や人材を持っているかということが、より多くの患者を集められるかの重要な要素になります。
こうした、人・物・金という資源を豊富に持たなければできないような戦略は、大企業だからこそできるものであり、個人経営や中小企業が同じような経営戦略で対抗するのは厳しいと言わざるを得ません。よほどの付加価値やアイデアを生み出さない限り、小さな企業の経営環境はより厳しいものになっていくでしょう。

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異業種参入で現場に求められる薬剤師とは

異業種参入の影響は当然薬剤師の働き方にも大きな影響を及ぼします。各企業が「生き残るためには薬を調剤して渡すだけではダメだ」との判断を前提とした戦略を取る場合、現場で働いている薬剤師にもそれ相応の変化が求められることになります。
例えば、コンビニと業務提携した調剤薬局であれば、服薬指導や調剤業務に加えて、コンビニ商品の販売や宅配便の取り次ぎなどの業務もこなすことになりますし、介護サービス事業を手掛ける企業と提携した調剤薬局であれば、介護サービス業務のスキルも求められるようになると思われます。
異業種企業の参入が相次ぎ、様々な業種の企業との業務提携が活発になるほど、現場の薬剤師は従来の能力だけでなく、特別な接客スキルや知識を身に付けることが求められるようになるのです。
「自分は薬剤師としての業務だけをやりたい」と考える人もいるかと思いますが、近い将来はそういった考え方では生き残っていけなくなる可能性は高く、これからの薬剤師に必要なのは「環境の変化に柔軟に対応する」という心構えだと思います。
必ずしも上記のような未来がやってくると限りませんが、異業種企業の参入によって、現在の状況からは想像もつかないような環境の変化が自分の周囲で起こるという可能性はあります。
そのときになって慌てないように、改めて自分の働いている環境を見直し、競争激化時代を生き抜いていくためのこれからの働き方について、いま一度じっくりと考えてみてはいかがでしょうか。

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