商業施設内の調剤薬局が伸びているワケとは?
コンビニより店舗数の多い調剤薬局
日本には5万5,000店舗以上もの調剤薬局があります。これはコンビニよりも多い店舗数ですが、コンビニ業界と違い、調剤薬局業界には圧倒的な大手企業が存在しないため、中小規模の店舗がそのほとんどを占めていることが大きな特徴です。しかし、先発医薬品と同じ効果をもたらす薬がより安く購入できる「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」の普及に伴い、調剤薬局の売り上げは減少しています。
調剤薬局を取り巻く環境は大きく変わってきているのです。多くの調剤薬局は現在、これから生き残っていくために、どのような戦略をとっていけば良いのかということを、真剣に考える時期にきていると言えます。
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「門前薬局」の経営は厳しくなる一方…
「2014年度の調剤報酬の改定」によって、門前薬局の調剤報酬が引き下げられたことや、異業種からの参入が相次いだことなどにより、大手薬局チェーンはこれまでのように、門前薬局を展開する戦略が厳しくなっているという現状があります。また、政府が2年に一度見直している「2016年度診療報酬改定率」では、診療報酬が1.03%引き下げられることが決定しました。
厚生労働省の発表によると、2015年度の医療費が前年より1.5兆円増えて41.5兆円となり、13年連続で過去最高を更新したそうです。診療報酬のマイナス改定の背景には、大手門前薬局の評価を引き下げることによって、40兆円以上にまで膨れ上がっている医療費を削減したいという政府の狙いがあると思われます。こうした状況の変化から、門前薬局を含めた多くの調剤薬局にとって厳しい時代となっているようです。
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生き残るのは商業施設内の調剤薬局?
今後、門前薬局は減少していくことが考えられますが、一方で、駅の大型商業施設内の調剤薬局など、多くの人が集まる場所へ店舗を構えることが、これからの主流になっていくと予想されます。将来性を考えると、これから転職を考える薬剤師の方は、人が集まる場所へ出店している店舗を転職先に選ぶと良いかもしれません。
また、商業施設内に出店するという戦略以外にも、調剤薬局の生き残る道はあります。
たとえば、「在宅医療」への取り組みを強化するのもひとつの手です。
高齢化社会が進む現代において、在宅医療を必要とする人は確実に増えていますが、それを行っている薬局はまだまだ少ないのが現状です。地域に積極的に関わり、地域の方々に必要とされる薬局・薬剤師になるという道もあると思います。あるいは、コンビニエンスストアと提携し、複合型店舗という新たな経営スタイルを展開している調剤薬局チェーンもあります。
「脱門前薬局」を意識する大手薬局チェーンは、人が多く集まる商業施設内への出店を目指し、小規模な調剤薬局は、これからの業界の流れを素早く読み取り、独自のアイデアで強みをアピールすることが求められていくのではないでしょうか。
今後の調剤薬局業界の動向に注目していきたいところです。
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