キャリアアップ 2016.09.02

薬剤師を取り巻く環境の変化とキャリア形成に必要なスキルとは？

需要と供給が噛み合っていない

「薬剤師は時給が高くて羨ましい」という声を聞いたことがある方もいると思います。実際に薬剤師の給料は一般の職業と比べても高いというのは事実ですし、薬剤師業界は人手不足ということもあり、選り好みをしなければ就職先・転職先を見つけることはそれほど難しくないと言えるかもしれません。
しかし、世の中は刻一刻と変化しており、薬剤師を取り巻く環境も例外ではありません。これまでは常識であったことが徐々に変わってきているのです。
まず、なぜ今薬剤師が不足しているのかというと、ひとつは「高齢化」の影響です。日本の医療費が増え続けているのは高齢者の人口が増え続けているためですが、それに伴って調剤を担う薬剤師の需要が伸びているのです。
また、大手ドラッグストアが参入したことにより調剤薬局の店舗数が増えたり、24時間営業の店舗など長時間営業が進んだこともあって、必要最低限の「店舗あたり3人」と言われている薬剤師も雇えていない状況というのも人材不足の背景にあります。
そして、薬学が高度化し、薬剤師に求められるレベルが上がってきたことに合わせて、薬学教育が4年制から6年制に移行したことも、最近の薬剤師業界の大きな変化と言えるでしょう。
薬学部を新設する大学は増えましたが、少子化の影響で入学者数は減少し、それによって偏差値も下がり気味になっているようです。

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キャリア形成に必要なスキル

活躍の場が広がった反面、高度なスキルが求められるようになり、やりたいと思う仕事を選択しにくくなってきているのも事実です。そこで、転職市場において少しでもあなた自身が優位に立つ必要性が出てきます。そのためには、今の自分のスキル以上のものを身に付け、薬剤師として付加価値を高めなければいけません。では、そのために必要なものとはどのようなものがあるでしょうか？

【管理薬剤師】
管理薬剤師は薬剤師の資格があれば基本的に誰でもなれるものですが、チェーンの調剤薬局やドラッグストアなどは各地で多店舗展開を行っているため、店舗を任せられる人間を多く必要としています。なのでこうした店舗で働く方は経験しておくことをおすすめします。
管理薬剤師の主な業務は、薬局で働く従業員や店舗に保管してある医薬品などの管理業務はもちろんのこと、一般の薬剤師への指導も行います。そのため、薬事法などの法律知識や医薬品に関する高度な知識も持っておかなければいけません。
一般の薬剤師が行わないような経理や人事、シフト管理などの業務も管理薬剤師の仕事です。
店長なわけですから、当然様々な責任が生じる立場ではありますが、マネジメント経験がない方であっても、これから積極的に管理薬剤師としてのスキルアップに努める姿勢があれば高く評価してもらえます。

【認定薬剤師・専門薬剤師】
医療・薬学の専門化や高度化に伴って、薬剤師にも特定の医療分野における高度な知識や経験を求められるようになりました。そうした高い専門性と経験を持つ薬剤師を認定する制度が、認定薬剤師・専門薬剤師です。
一定の経験年数を経た上で、日本薬剤師研修センターなどの各団体、薬剤師会、大学等が定める研修課程を修めることで、これらの高度資格が修得できます。
認定薬剤師・専門薬剤師資格には、たとえば「精神科薬物療法認定薬剤師」「がん薬物療法認定薬剤師」「漢方薬・生薬認定薬剤師」「救急認定薬剤師」などがあります。

【コミュニケーション能力】
薬剤師というのは資格職のため、調剤業務を始めとする高度な知識を活かした仕事がメインとなります。そのため「コミュニケーション能力」はそれほど重要であるとは考えていない薬剤師の方がいるのも事実です。けれど、これからは薬剤師にも今まで以上にコミュニケーション能力が求められるようになるのではないかと思います。
理由のひとつとして挙げられるのは、医薬品のネット販売解禁です。OTC医薬品のネット販売解禁により、これまでドラッグストアや薬局等でなければ購入できなかった医薬品のほとんどが、インターネットで購入できるようになりました。
それなら「ますますコミュニケーション能力は必要なくなるんじゃないの？」と思われるかもしれませんが、そうではありません。
ネット販売が解禁になったと言っても、そこには「購入者が提供された情報を理解したことの確認」「購入者の状態に応じた個別の情報提供」「購入者に再質問がないことの確認」など、販売のためのルールが設けられています。
購入者と薬剤師は電話やメールでこうしたやりとりを行うため、ネット販売においてはむしろ患者さんと会話する機会が増えていくだろうと考えられています。
市販品に関しての知識を増やしていくとともに、これからの薬剤師はコミュニケーション能力の高さを備えていなければ生き残っていくことは難しくなるかもしれません。

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まとめ

薬剤師がスキルを高めようとする場合、その領域は広範囲となるため、すべての技術や知識を習得することは現実的ではありません。まずは自分が薬剤師としてどのような仕事をやりたいのかという目的を明確にした上で勉強に取り組みましょう。

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