独立開業は儲かる？調剤薬局経営者の年収と
メリット・デメリット

転職よりも独立開業を選ぶ理由

医療費削減で厳しくなるといわれているものの、独立開業をめざす人は多いと思われます。

薬局経営を志す人の一番の動機は収入でしょう。実際、経営が安定すれば勤務薬剤師とは比べものにならない収入が得られます。収入を増やしたいという動機は健全ですし、やらされるのでなく自分のやりたいようにやってみたいという欲求もうなずけます。これらは前向きな志向であって、たとえば職場の人間関係がうまくいかないから、組織になじめないからなど、後ろ向きな理由ではないからです。思い通りにいかないから独立しようなどという甘い考えでは失敗しないはずがありません。

メリットとデメリットを比べる

独立開業することのメリットは何でしょう。まず収入が増えること。安定した売り上げを得続けることは難しく、経営者として薬局業務以外の仕事も増えますが、成功すれば概ね1,500万円以上の年収を得られる傾向にあるようです。また勤めと違って定年がありません。元気ならいつまででも働けますし、自分のやりたいようにやれるわけですから、達成感も大きいといえます。

これらは薬局に限った話でなく、どんな商売でも同じです。薬局ならではというならば、売上の回収に失敗が少ないことでしょうか。多くの商売には売掛金というものが発生します。あとから代金を回収するわけですが、たとえば相手が倒産して”踏み倒される”ようなことも珍しくないのです。薬局の場合、そういうことは基本的にありません。その点では実に堅実な商売といえるでしょう。

デメリットといえば仕事とプライベートの境がなくなってしまいがちなことです。二十四時間勤務のようなもの。当然、仕事の上で発生するトラブルに対しての全ての責任を負い、対処しなければなりません。経営者としてマネジメント業務が増えますし、とりわけ薬剤師を雇うために確保することも難しい時代になっています。
また、今後は国の医療費削減で経営が厳しくなっていくことが予想されることも大きなデメリットの一つです。

転職先に何を求める？

薬局経営で成功するためには、条件の良い開業場所の選定、政策や法律の改正等による経営環境の変化への対応、複数店舗経営によるリスク分散等々、いろいろありますが、これらをしっかりおさえても万全ということはありません。

予想外のことはいくらでも起こります。軌道に乗せるには予測よりも時間がかかると覚悟していなければなりませんし、安定したままで”飛行”を続けるのも大変で、操縦士である経営者が気を緩めればたちまち”墜落”の憂き目に会います。

独立開業は一つの賭けです。リスクを覚悟し、それでもやるんだという強い意志を持つことが必要です。それができないのなら挑戦しない方がいいでしょう。
また、開業資金だけでなく運転資金（生活のためのお金も含む）も十分に用意することが肝要です。余裕がなくなると、つい誤った判断をしがちだからです。 収入のアップだけが目的なのであれば、製薬会社のMRなどの方が効率がよいため、独立開業はあまりおすすめできません。強い意志をもって開業する場合にも、まずは綿密な情報収集と開業資金の確保が重要です。